歯の根っこの奥まで
きっちり治療
歯の象牙質にある根管には、神経や血管が通っている「歯髄」と呼ばれる組織があります。もし歯髄にまで細菌が感染すると、激しい痛みを覚えるだけではなく、歯を失うことにも繋がりかねません。
そこで必要なのが根管治療です。
まず、細菌に感染した歯髄を取り除き、根管内を徹底的に洗浄・除菌。その後に薬剤を詰めて、細菌を徹底的に取り除いてから、被せ物を被せていくのが根管治療の基本的な流れです。
当院では根管治療に
マイクロスコープを使用しています
根管治療は、歯のかなり奥深く、根っこの部分の治療を行いますので、大変見えづらい状況の中で正確に治療を進める技術が必要とされます。
そこで当院では、根管治療の際には必ずマイクロスコープを使用することにしています。マイクロスコープは対象物を5~30倍まで拡大することができます。これにより、どれだけ奥の部分であっても大きく、そして明るくはっきりと見えるようになりますので、正確な治療を実現できるのです。
根管治療が必要になるとき
歯の痛みを引き起こす原因はさまざまです。むし歯はもちろん、歯周病や歯ぐきの炎症に伴う痛みも考えられます。そのなかで、以下のような症状でお悩みの場合は、根管治療が必要になるケースもあります。
- 何もしていないのに歯の痛みが続く
- 噛んだ時に歯に強い痛みを感じる
- 歯の根元付近の歯ぐきが腫れており、膿を持っている
- レントゲン撮影により根の先の病変が認められる
こんな痛みがあれば根管治療を
痛みがあればすぐ根管治療をすればいい、というわけではないですが、下記のような場合は根管治療が有効なことがあります。
- 歯の内部まで細菌が感染してしまっているとき
- 歯にひび割れ・亀裂が生じているとき
- 歯周組織が炎症を起こしていて、そのために歯周ポケットが深まっているとき
根管治療の流れ
Flow01浸潤麻酔+齲蝕、感染歯髄の除去
根管治療は基本的に麻酔をした状態で行います。十分に麻酔が効いているため、治療中に痛みを感じる心配はほとんどありません。
Flow02ラバーダム防湿
ラバーダムとはゴム製のシートであり、治療が必要な歯だけを露出することができます。治療をする歯の内部に唾液が流れ込まず、周囲の歯に細菌や切削片が飛び散るのを防ぎます。無菌に近い状態を作り、治療中に使用する薬液が漏れ出す心配もほとんどありません。ラバーダム防湿は、より的確な根管治療の実現に必要不可欠です。
Flow03アクセスキャビティ
根管の入り口を拡大し、器具や消毒剤が根管内部の隅々にまで届く環境を作ります。
Flow04根管穿通
抜髄に必要な器具が根管の先に届くような状況を作ります。
Flow05根管拡大・洗浄
根管内部に残った細菌や汚染物質、切削片などを徹底的に除去します。
Flow06根管形成
清掃した根管の形を整え、形態の維持をめざします。
Flow07根管充填
根管に防腐剤などを詰め、細菌の再侵入を防ぎます。
根管治療が目指すところ
患者様の多くは「根管治療は歯を残すこと」というイメージをお持ちかもしれませんが、歯の保存だけが根管治療のゴールではありません。
「食べ物をしっかりと噛めて食事ができ、健康寿命が延びる状態」こそ、当院が考える根管治療のゴールです。歯を失った後は入れ歯やブリッジ、インプラントなどの治療方法がありますが、噛みやすさや噛み心地を考えれば、ご自身の歯(天然歯)に勝るとは言い切れません。しかし、噛めるといっても状態の悪い歯のままでいることが、将来の健康に悪影響を及ぼす恐れも考えられます。
当院では歯の保存を第一に考え、できるだけご自身の歯を残せるように、根管治療を通じてサポートしております。
「噛むこと」が
健康寿命を延ばすための第一歩
ご自身の歯で噛むことは大事です。しかし、介護の現場においては、歯を残すか残さないか、判断が難しいケースも存在しています。例えば、寝たきり状態であれば、ご自宅や施設で抜歯をしなければなりません。それであれば、寝たきりになる前に抜歯し、入れ歯にしておく方が、その後のトラブルを未然に防ぎやすくなるのです。
当院では、口腔機能の低下を原因にする身体の衰え(オーラルフレイル)の予防を大切にしております。「ご自身の歯をできるだけ残す」「自分の歯でしっかりと噛んで食事を楽しむ」という状況に向けて、健康な口腔内の環境づくりを患者様と一緒にめざしております。
ただ「残す」のではなく
「噛める」歯を目指して
食事や会話など、健康的な毎日を実現し、クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を高めるには、歯が重要な存在になります。
当院が行う根管治療の目的は、ご自身の歯を残し、しっかりと噛める状態を作ることです。根管治療で歯を残せても、違和感があるようでしたら、その歯を避けるようにして噛んでしまいます。その状況は患者様にとって、本当に健康だと言えるのでしょうか?
当院では根管治療後もメインテナンスなどを通じて患者様に寄り添い、いつまでもしっかりと噛める状態の維持をサポートしております。
他院では「歯を抜くしかない」と言われたとしても
以前は、歯の根っこが細菌に感染してしまった場合、それはもう抜歯することが当然、という時代がありました。しかし、マイクロスコープをはじめとした性能の良い機器の登場や、歯科医師の技術の向上などにより、根管治療は大いなる進歩を遂げました。
もし他院で「これはもう抜くしか解決策はないです」「ちょっと原因がわからないですね」と言われた場合、一度当院にご相談ください。マイクロスコープで覗いてみれば、肉眼では確認できなかった「症状の原因」が見つかるかもしれません。それはすなわち、無駄に歯や神経を抜くことを回避できる、ということを意味します。
いつまでもご自分の歯でしっかり噛んで、毎日を楽しく暮らす、そのためには、正確な診断と治療を受けることが大切であることを、どうぞ心に留めておいてください。