レーザー・高周波治療について
当院では、患者さんにやさしい最新のレーザー・高周波治療を行っています。
レーザー治療や高周波治療では出血も少なく、傷跡も残りにくいほか、照射後の治りも他の外科的な方法とくらべて早い長所があります。ただ、レーザーや高周波でないとできない治療はあまりないことも事実です。患者さん、ドクターがよりストレスのない治療が可能なぐらいで考えていただければよいと思います。最新のレーザー・高周波治療だから何でも治るといったわけではありません。
当院ではレーザー・高周波の特性をふまえたうえで、治療に使用したほうが良いと判断した疾患・症状の場合に適用しています。
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レーザー照射器
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高周波治療器
そもそもレーザー・高周波とは
レーザー
レーザーとは単一の波長を持つように作られた人工的な光です。波長が単一なため、他に干渉を受けることなくどこまでも直線的に進む、すなわち遠距離で光がほとんど拡散せず常にまっすぐ進む光がレーザーです。このため、光源のエネルギーを一点に集中させることが可能です。すなわち、光のエネルギー密度が高く、単なる自然光を収束したのに比べ桁違いにエネルギーが大きくなります。この大きなエネルギーによって、金属の溶接も可能となります。
歯科用レーザーの種類
レーザーは媒体によって、固体レーザー、(ヤグレーザー(Nd: YAG))、ガスレーザー(炭酸ガスレーザー)や半導体レーザーなどに分類されており、得意分野が少しずつ違います。
高周波
高周波は振動数の高い波、すなわち波長の短い波(マイクロ波や超短波)を照射して、照射した物体に振動を起こし、その際発生する摩擦熱により、局所的に加熱して治療効果を得る方法です。レーザーは直進性のため、光エネルギーが表面で吸収され生体深部まで到達しないのに対し、高周波では深部の加温治療が可能です。このため、レーザーは歯や歯茎の浅部病変には有効ですが、深部に原因がある病変には不向きであり、逆に高周波治療が望ましいことになります。
レーザー・高周波治療の効果
- 殺菌効果
- レーザーも高周波も、瞬間的に高温にすることで、細菌などを蒸発させるため、むし歯や歯周病菌などの細菌に対する殺菌効果があります。
- 止血効果
- レーザーや高周波を照射すると、組織を瞬時に蒸発させるため、歯肉を切っても出血が少ないです。
- 麻酔効果
- レーザーを照射すると、麻酔をしなくても処置ができる場合がありますが、一般的な注射麻酔ほどの強い麻酔効果ではありません。レーザーや高周波を口内炎(アフタ)や口角炎あるいは知覚過敏症を訴える部位に照射してもあまり痛みがないのは一部このことによると考えられています。
- 歯の切削効果
- レーザーでは歯を削るように穴をあけてゆくことができます。ただし、通常の回転器具で削る場合よりもかなり時間がかかりますので、大きく削るのには不向きです。高周波ではまったく無理です。
- 傷の治癒促進
- レーザーや高周波では照射部位の傷が早く治す効果が認められています。おそらく、レーザーや高周波が有する温熱効果により患部の細胞内の各種酵素活性が高まるため、細胞の治癒が促進させると思われます。
有効な症状・疾患
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むし歯治療
レーザー光を当てることによって、おそらく歯の表面の温度がかなり高くなるため、むし歯が蒸発(蒸散)して、さらに歯の表面が硬くなり、むし歯になりにくい状態にすることが期待できます。特に初期むし歯には効果的ですが、大きなむし歯の場合、削るのに時間がかかりすぎるということで、非効率のため、あまり使用されていません。
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知覚過敏
知覚過敏の原因となっている、歯の根元付近の象牙質に、レーザーを当てると、内部へ刺激を伝える通り道を機械的に塞ぐことができるため、知覚過敏が解消されることがあります。
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歯周病の炎症
歯茎が腫れた時に、歯周ポケットにレーザー光を照射すると歯周病菌などが減少したり、内部に溜まった膿が出やすい状態になったりします。詳細なメカニズムはわかっていませんが、細胞の治癒が温熱効果やレーザ光の直接効果により促進されるのではないかと考えられています。
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根の治療
歯の根の内部にレーザー光を当てると、歯の根の中を高温にして、歯の根の中に生息する病原細菌が減少したりすることで、臨床的には効果が認められています。また、高温になるため、根の中を十分に乾燥できるため、根の治療には有効です。
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口内炎・口角炎
口内炎、口角炎が起こると、食事をきっちりと取ることが困難になります。レーザー照射によって、口内炎や口角炎の治癒が促進されます。
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歯茎の整形・審美
歯茎を切開したり、形を修正するときなどに用いられる。歯茎の黒ずみなどもレーザーによって綺麗にすることができます。メラニン色素沈着症には有効な手段です。特に、メスで切るのと違い、出血を少なくできるメリットがあります。